ラストサムライ

テレビでは初、映画館では何回か見てます(DVDは持ってないです)。
内容云々には触れず、最近読んだ本と照らし合わせて、ちょっとだけ書きたいことが。
「侍は伝統を守る。飛び道具は使わない」
これは半分事実です。実際、江戸末期の武士にはそういう風潮がありましたから。
しかし半分嘘です。戦国時代の武士には、そういう風潮が見られませんでしたから。
戦国時代の武士の気風を残していた薩摩や庄内(経済地区と城を切り離していた)では、
武士が鉄砲を持って匍匐前進する訓練を抵抗なく受け入れたのに、江戸時代の武士道を
追求した会津では「武士が地べたに這いずり回るとは何事か!」と軍事指導者に食ってかかった
という話がありました。長州でも武士はそういうことを嫌い、庶民を集めた諸隊が
近代軍事訓練をしたという事情がありますしね。
会津なんかはマシな方で、江戸の旗本なんかは「鍛えるぞ!」と言った途端に、
年端もいかない息子に家督を譲って、壮年・青年が大量隠居して逃げたこともあります。
江戸時代のミラクルピースの間に、多くのサムライは官僚化し、弱体化してますからね。
そういう事情を考慮すると、
・江戸時代風の武士道のラストサムライ→格好は映画の通りだが、あんなに強くない
・戦国時代風の武士道のラストサムライ→強さは映画の通りだが、鉄砲は当たり前のように使う
難しいです。