ミュージカルまとめ

 ミュージカルの出来がかなり良かったので、僕が見た20日(レポは21日)時点で
まだ見ていない人の興味を削がないように、極力ネタバレを防ぐ(小出しにはしました)
書き方をしてきました。無事、大盛況で終了したことから、解禁します。
 ストーリーをかいつまんで解説します。

00.天上界
  複数の魂を得ていない存在がたむろっている。その中の1人が、神様の元から魂を
 盗んできていた。とある存在は、神様に呼ばれて、集合に遅れて現れた。神様に1人だけ
 呼び出された抜け駆けに嫉妬した他の存在から、騙されて魂を飲まされてしまう。
 しかし、実は既に神様によって魂を授けられていたために、その者は魂を2つ持ったまま
 人間の子として生まれてしまうことになる。
  一方、魂を盗んだこと、その魂を既に魂を持つ者に飲ませたことを知った神は、他の者たちに
 それぞれの役を持った魂を授け、責任を取らせる。唯一その悪戯をやめさせようとした者には
 王子になる運命を持った魂を。首謀者には大臣になる運命の魂を。ある者には人間の魂を与えず、
 魔女として生まれることを宿命づける*1。そして舞台は地上へと移る。
01.王宮(庭園)
  シルバーランド王国のサファイア姫が、王妃の前で花を摘んでいた。しかし、時間が来ると
 サファイア王子として生きなければならない。王子でなければ国を継ぐことができず、
 サファイアが王位を継がなければ、王位は暴虐な大臣(またはその子)のものとなる。
 国王は大臣の勝手にさせないよう、サファイアに男として生きさせていた。王妃は悲しむ。
 「女であることを否定させている。いずれ心がおかしくなりましょう。これは人殺しと同じです」
  国王一家が去った後、庭園には大臣とその腰ぎんちゃくナイロンが現れる。彼らは、王位を
 得るために、サファイア王子の出生の秘密を探っていた。オウムを花畑に隠し、会話を記憶させようと
 していたが、上手くはいっていなかった。そこに大臣の子が現れる。馬鹿な子であるが、可愛い子に
 王となってもらいたい大臣は、なんとかサファイアを陥れようとする。
  サファイア王子は、淑女たちと出会う。彼女たちは、今日の復活祭で、お忍びでやってくる
 隣国のフランツ王子と踊ろうとしていた。そのことを聞いたサファイアの女の魂が騒ぐ。
 王妃は、亜麻色の髪のカツラを被り、素性を隠して「女」として復活祭に参加するよう教える。
02.城下
  城下では、お忍びであることがバレバレなフランツ王子が、淑女たちに囲まれてしまい困惑していた。
 彼は、できるだけ自分が王子であることを知らない女性と、復活祭のダンスをしようと思っていたのだった。
 淑女たちから逃げ出したフランツは、亜麻色の髪の乙女サファイア)と会う。自分のことを知らないという
 亜麻色の髪の乙女とフランツはダンスを踊る。去り際、フランツは「姫!」と声をかける。
 物腰から、高貴な身分の女性と察知したのだった。そこを淑女たちに見つかり、大騒ぎとなる。
 それを鎮めたのは、サファイア王子であった。男の姿で現れたサファイアは、フランツに
 「はじめまして。僕がシルバーランドのサファイア王子です」と自己紹介するのだった。
03.王宮(室内)
  大臣は、サファイアが死ねば、自動的に王位継承権は我が子に移ると考え、復活祭の際にサファイア
 殺そうとする。剣に毒を塗り、剣技大会にサファイアが出場するように仕向け、毒殺しようとする。
 それを一部漏れ聞いた大臣の子は「そういうのは重荷なんだよな」とボヤく。
  王宮では、剣士たちによる剣技大会が開かれていた。フランツ王子の賓客として招待されていた。
 剣技を見たフランツ王子は「自分も是非参加したい」と訴え出る。大臣は、相手役にサファイアを提案する。
 「かつて戦争をしていた両国が、今は平和な剣技で競い合う。平和な象徴ではありませんか」
 こう言われては王も反対できなかった。サファイアは、密かに恋を覚えるフランツと戦いたくなかったが、
 フランツはそれを知らない。「本気でないなら、やる意味はない」 サファイアも本気を出す。
 その刹那、フランツ王子の剣が弾かれ、王の顔面をかすめる。なんてことなく、競技続行を命じる王だったが、
 すぐに毒が回り、死んでしまう。剣を見た大臣は、剣が青く錆びていることから*2毒が塗られていたと言い、
 フランツ王子を王殺害犯として投獄する。
04.牢
  牢ではフランツ王子が怒り狂っていた。そこにフランツ王子が現れ、謝罪し、逃げることを勧める。しかし
 「あなたの哀れみは受けない!」 フランツはサファイアの救いを拒絶する。
 「私は殺されても構わない。その代わり、この国を滅ぼしてやる」
  サファイアは去った。その後、再びフランツを救出する声が。
 「あなたの助けは要らないと言ったはずだ!」
 「私です。復活祭であなたとダンスを踊った・・・・」
 「あなたが何故ここに?」
 亜麻色の髪の乙女が、フランツ王子を牢から出し、脱出へと導いた。
 「お願いがあります。戦争をしないで欲しいのです」
 「それは無理です。私はサファイアが憎い。私を貶めておきながら、そ知らぬ顔で逃げろと言った。
  この恥は必ず雪ぐ。だが約束しよう。私が憎いのはサファイアだけだ。他の者には殺さないと」
 フランツは去り、サファイアは落ち込むのだった。
05.王宮(庭園)
  王殺害に加担したナイロンは、良心の呵責に悩まされていた。そこに覆面の騎士が現れ、剣をつきつけて
 王殺害の真実を聞きだす。覆面の騎士は「リボンの騎士」と名乗った。それはサファイアだった。
  一方大臣は、王が死んだことにより、王位はサファイアのものとなり、我が子には王位継承の目が
 なくなったことを嘆いていた。どうしてこんな計算違いがあったのだろう。我が子に王位を継がせたい。
 「その願い、かなえよう」
 魔女ヘケートがいずこともなく現れ、王妃に飲ませれば全てを話すという秘薬*3を渡す。
 「代償は何だ? わしの魂か?」
 「お前の魂など要らぬ。私が欲しいのはもっと別のものだ。2つのうちの1つ・・・・」
06.王宮(室内)
  サファイア戴冠式が行われていた。出席者に祝杯が振舞われる。サファイアは言う。
 「この国から蛇を追い出さねばならない。大臣、言うことはないか?」
 「わしから見れば、王、あなたこそ蛇だ。そう、自分の尾を食らう蛇だ。
  王妃を見よ。良心に責められ、自らの体を支えることもできなくなっているではないか」
 王妃は、祝杯に入れられた魔女の薬により、全てを白状してしまう。
 「サファイアは女です。王位を渡さぬため、男として育てられたのです」
 大臣は高らかに叫ぶ。
 「王子は女! 我々は騙された!!」
 その様子を、王座の高みから、魔女ヘケートは見下ろしていた。冷笑とともに。


<<< しばらく休憩です >>>


07.牢
  牢では、牢番ピエールが大臣からの手紙に愕然としていた。
 そこにサファイアと王妃が連行され、投獄される。空腹を訴える王妃たちに
 「頼み方ってもんがあるんじゃねえのか?」
 「これはいい指輪だな」 と粗暴な牢番たちは手荒く扱う。
 牢内でサファイアは、
 「全ての者が憎くてたまらない」と言う。それに対し王妃は、
 「憎しみをもって報いてはならない」と諭す。
  牢番ピエールが食事を持って現れる。食べさせる前に、彼は王一家に質問をする。
 「お前たちはどうしてここに来た?」
 「国民を騙していた罪によってです」
 「それだけか?」
 「他に何か?」
 「その秘密を守るために、多くの者を殺したりしたんだろ!」
 「そんなことはしていない。断じて」
 牢番ピエールは、彼女らに与えようとしていた食事を投げ捨て、大臣から即刻殺害の命令を
 受けていたこと(食事に毒が入っていること)を告げる。こうなった以上、脱出を勧める。
 そこに他の牢番トロワとコリンも現れる。彼らは、密かに食事を与えようと、食事を持ってきたのだった。
 牢番同士示し合わせ、返そうとしていた指輪は殺害の証拠とし、王妃たちを逃がしたのだった。
08.ゴールドランド
 「戦いの時が来た!」
  フランツ王子は、騎士を召集し、シルバーランド侵攻を図っていた。
 「我が名はトルテュ! 連れてきたのは精鋭ばかりを2万!」
 「我が名はヌーヴォー! 連れてきたのは、命知らずを3万!」
 「合計10万。これで勝てる!*4
  シルバーランドを焼き尽くし、略奪し尽くすことを提案する*5ヌーヴォーたちに、フランツは
 「シルバーランドは併合する。我が国民となるのにそんなことはできない」
 大通りを直進し、王城を攻略することを示す。
 「国民も兵も逃げ出し、もはや国としての体裁を取っていない!」
 そんな中、フランツは城も焼くことを禁止する。
 「我が城となるのに・・・・。いや、諸君たちには本当のことを話そう! 私はある人と約束したのだ」
 「そういうことなら、もはや聞くまい」
 結束を固めたゴールドランド軍は、シルバーランドに侵攻する。
09.王宮(室内)
  シルバーランドでは、大臣による大増税のため、国民が逃亡し、税収も減る事態が起きていた。
 新王は「全体的に税金を上げるから悪いんだ。メリハリをつけたり、民が喜ぶことに税金を遣ったり
 しないとダメだ」と父に意見する。大臣は「だったら大きなイベントをして、国民を喜ばそう」
 「お前の結婚式だ! 可愛い子を探さないと」
 廷臣リューとリジェをスカウトとして派遣し、国内の可愛い女性を連れてくるように命じた。
 ナイロンは嘆く。
 「こんなことでいいのだろうか? 国境にはゴールドランドの大軍が集結しているという噂があるのに」
10.荒野
  王妃は病に倒れた。このままでは死んでします。母の命を助けて欲しい!
 「その願い、かなえよう」
 魔女ヘケートが現れ、サファイアに取引をもちかける。曰く、
 「お前は男と女、2つの魂を持っている。だから男の魂の時は女性に憧れ、女の魂の時は男に心ときめかす。
  そのうちの1つを私によこせ。お前の魂は女の方が強いようだ。女の魂をもらおう。なに、死にはしない。
  お前は男として生きていくだけだ」
 「いけない! サファイア、お前の魂はお前だけのものよ」
 虫の息でそう言う王妃だったが、
 「どうする? 放っておけば、王妃は死ぬぞ」
 サファイアは取引に応じ、ヘケートはサファイアの女の魂を抜き取り、高らかに笑うのだった。
 ・・・・永遠の命は永遠の孤独。私が愛した者たちは、皆私より先に消えていく
 フランツ王子に愛されているサファイアの女の魂を得たヘケートは、フランツに愛される人間の女性として
 生きられると喜ぶのだった。
  一夜明け、目覚めたサファイアは、自分の体が完全に男になっていることを知り、笑うのだった。
 「何という皮肉。女であることで追放されたのに、今は男となることで生きているのか」
 そこに、花嫁探しのスカウト・リューとリジェがやってくる。サファイア(男)は女装し、
 大臣へ接近するためにスカウトに応じるのだった。
11.王宮(室内)
  大臣は、リューとリジェの連れてきた女性を誉めていた。しかし
 「見覚えはないか!?」
 「お前はサファイア! 生きていたのか?」
 衛兵を呼んで、サファイアを排除しようとするが、ナイロンが呟く。
 「もう城には誰もいませんよ。皆逃げ出してしまいました。国が滅びる時は、呆気ないものだ」
 ゴールドランド軍の襲来によって、既に城は落ちていたのだった。
 城に乗り込んできたフランツは、驚く。
 「お前はサファイア王子! 女であることがバレて、追放されたのではなかったのか?」
 「自分は男だ。その証を見せよう」
 「そうか。では決闘だ!」
 ヌーヴォーは止める。「もう決着は着いたのに、そんなことをする意味はない」 だが、
 「これは私の名誉の問題だ。サファイア、私と勝負しろ!」
 サファイアとフランツは、再び剣を交える。だが、サファイアはフランツの剣の前に身を投げ出す。
 「なぜわざと負けた?」
 「ご存知ありませんか? 復活祭であなたと踊った乙女を。牢から救い出した乙女を」
 「どうしてあなたがそんなことを知っている?」
 「あれは私だったのです。あなたと戦いたくなかった」
 男のサファイアは死んだ。しかし、この悲恋を見ていたヘケートは打ちのめされ、奪った女の魂を
 サファイアに返した。すると
 「おお、血が消えていく」
 サファイアは完全な女性として蘇った。
  一方、打ちのめされたのは大臣もであった。国を崩壊させ、全てに見捨てられた彼は覚悟を決め、
 「どんな罪でも受けましょう」と言った。サファイアは、
 「憎しみをもって報いてはならない、と母に教わりました。大臣、命は奪いません。あなたを追放します」
 「父上、ついていきます」「大臣、私もお供します」
 子とナイロンを伴って、大臣は城を出ていった。
  フランツは、サファイア(女)に結婚を申し出た。そうすれば、両国は対等の立場での合併*6となる。
 サファイアはそれに答えるのだった。
  ヘケートは神様の元に行った。神様はヘケートの行為を讃え、ヘケートにも人間としての魂を与えた。
 「ところで、あなたは男なのですか? 女なのですか?」
 フランツの問いにサファイアは微笑みながら答えた。
 「くわしい話はのちほど。長い、長い、お話です」
 「いいだろう。時間はいくらでもある。生涯つづく幸せのときが。祝砲を撃て!」
 大団円。


ED.
 神:「魂の物語は終わった。次は男になりたいか? 女になりたいか?」
 魂:「女の子!」
 神:「生まれ変わったら何になりたい?」
 魂:「アイドルグループ!」
 魂たちは数百年を経て、再びめぐり合った。
 そして、モーニング娘。美勇伝、他のコンサートに繋げられた。

セリフは大体こんな感じの、ね。一言一句覚えていませんでしたので。
 なお、まとめたのは、松浦亜弥出演の20日のものでして、牢番がピエール(三好絵梨香)とコリン(岡田唯)の
2人しかいない回や、ピエールが辻希美の回は、牢での演出が若干違うようです。
 ちょっと面白いと思ったのは、吉澤大臣がサファイア王(一瞬だが)に言った
「自分の尾を食らう蛇だ!」です。これはウロボロスを指しますね。ウロボロスと言えば、話が全然違う
鋼の錬金術師』で人造人間(ホムンクルス)の体に浮かび上がる紋章です。ホムンクルスは、複数の人間の
魂を材料として錬成された『賢者の石』を核とした存在です。全く異なる世界の話なのに、
複数の魂を持つ者を暗示する「自分の尾を食らう蛇」。演出の木村氏は、意識したのでしょうかね。
 舞台は、基本的に宝塚的な階段を中心に置き、その周りに回転装置があり、庭園の場面では花壇を、
場外なら彫刻を、暗転の間に移動させて舞台転換させていました。舞台背景も回転し、牢のシーンでは
ガイコツを置いた黒を基調したものに変わります。基本的にはこれだけです。割とシンプルな舞台で、
演技を中心に見せたいという木村氏の意気込みみたいなものを感じましたね。
 小道具についても少し。牢のシーンでガイコツを出したため、出演中松葉杖のののたんは、
小道具としてガイコツを松葉杖につけて登場していました。設定も、怪我したピエールということで。
あと、メイン小道具であり、キーパーツでもある魂! 小さいけど結構光が強いです。
サファイアからこの魂を取り出すヘケティの演技は、地味ですが上手かったですね。
 さて、一方の悪役であった魔女ヘケート(ヘケティ)については、既にいろいろ書きましたが、
下で項目を変えて、もう一方の悪役・大臣について書きます。以前とは意見が変わりましたので。
(文中、ヘケートとヘケティが両立してますが、役どころについては「ヘケート」、
 ヘケート@ミキティは「ヘケティ」で使い分けています。ミキティヘケートは書きづらいので)
 最後に、id:hatchman さんのとこを再トラバ。「リボンの騎士」関係では、ここを基点に
あちこちを見歩けば済みます。まとめサイトとして、凄まじいまでに充実してますので、
リボン評なんか見たい人はどうぞ。僕は、8月23日のとこで「ヅカの中の人」が鑑賞して、
食事しながら感想を言ってたという、「本当の評判」というが興味深かったです。

*1:僕は、やはりどうしてヘケートにこの宿命を負わせたのか、不明

*2:青酸系と推測

*3:ベラドンナマジックマッシュルームと推測

*4:こんなに早く動員できたということは、前から準備してなかったか?

*5:当時は略奪で兵士の給金払ってたので、この提案は当たり前

*6:イスパニアカスティーリャも、名目上は対等だけど、そうなってなかったんだよね