真珠湾の日

mixiに書いたネタのコピペですが、hatenaでもやります。
石川梨華ちゃんのハワイツァーの時に行った、真珠湾のネタです。
 
2008年11月26日(現地では25日)のことですが、真珠湾アリゾナ・メモリアルを見学してきました。

僕が度々使う表現、湯気の出ている歴史(現在進行形で評価中)の話なので、どちらかというと、
その歴史をどうアメリカ人は捉えているかを観察した、考現学的な話を書きます。
 
悲劇が生まれたが、最終的には勝利した、その自信からか、かなりカラっとした印象を受けました。
日本人と分かっても、別に難癖つけられませんし。1人、
「日本人がここに来るのはどうしてだ?」
という質問をして来た若い人はましたが、「歴史の勉強」と言えばそれで納得しました。
絡まれたってレベルではありません。
 
情緒的になってないせいもあり、展示や説明も冷静でした。
沈没したアリゾナ上に建てられた場所に移動する前(移動用船乗船前)、映画を上映しますが、その中では

  • 日本による中国侵略
  • ルーズベルトによる経済封鎖
  • 日本の様子を映し、「経済封鎖が続けば数年後には破綻する」という説明
  • アメリカも太平洋艦隊を増強していた様子

というのが描かれていました。
攻撃前の日は、ダンスをしていたり、のどかな田園風景を映したりと、奇襲が強調される演出にはなっていましたが。
当然かもしれませんが、実施者の南雲忠一中将より、立案者の山本五十六連合艦隊司令長官
メインに話を進めていました
(無論、南雲中将や空母赤城は、展示でしっかり説明されていました。展示には、日本が使った魚雷もありました)。

「ヤマモトは戦争に反対だった」
「勝つ為に作戦を考えた」
「ヒントはイギリスによるイタリア・タラント軍港空襲だった」
というのが映画でも描かれていました。
展示では「アメリカ駐在して、国力の差を知っていた」と日本語で書いてました。
そして攻撃に先立って
アメリカ海軍が、近海にいた日本の潜水艦を撃沈した」
という映像もありました。
また、
「市街に被害をもたらしたのは、日本の空襲ではなく、アメリカの対空砲だった」
(そして、それを隠して日本のせいにした)
という説明もありました。
こちらが考えていた以上に中立な描き方でした。
 
その後、アリゾナ・メモリアルから戦艦オクラホマ・メモリアル(死者の墓標がずらっと立ち並んだ所)に移動し、
オクラホマの元乗員で、真珠湾の生き残りの退役軍人から話を聞きました。
こちらもカラっとした人で、日本人である僕への恨み事は何一つ言いませんでした。
アメリカ人は握手が先だけど、日本人はお辞儀だから、たまにテンポ狂うな(笑)」
とかって言われたくらいです。
 
このように、もう消化しきって歴史の一出来事になった・・・・とまでは言い切れませんでした。
やはりウェットな部分もあります。
日本人へのネガティブ感情としては出てませんが。
戦艦アリゾナ重油を搭載した状態で沈んだ為に、今でも重油が漏れて来ています。

これを「死んだ兵士の涙だ」と言っていました。
また、他の艦は引き上げて、オクラホマ以外は前線復帰したのですが、アリゾナは沈めたままです。

水深の浅い場所だから、どんなに損傷が激しくても、引き上げて解体することは簡単ですが、
「あそこには兵士が眠っている。墓を掘り起こすようなことはしない」
という理由だそうです。
 
一方、アメリカ人らしいタフさもありました。
アリゾナ・メモリアルの隣には、太平洋戦争で活躍した潜水艦が「真珠湾の復讐者」として
繋留・展示されています(ツァーの関係上、そっちは見てませんが)。

アリゾナのすぐ目の前には、日本の降伏文書調印の場であった、戦艦ミズーリが保存されていました。

航空博物館の方に行くと、真珠湾の零式戦闘機や日本の魚雷(浅い真珠湾で使う為の改造個所まで見せてました)、
最初に撃墜された民間機などの後、東京を初空襲したドゥーリットル隊が使ったB-25、
ミッドウェイ海戦アメリカ勝利の立役者SBDドーントレスも展示されていました。
特にドゥーリットル隊は記録映像も見られました。




真珠湾は、やられただけでなく、ミッドウェイでひっくり返すまでを含めた歴史で、
「やられました。こんな酷い目に遭いました」で終わってないな、という感想を持ちました。
(これは別な本で読んだ話ですが、「リメンバー・パールハーバー」という掛け声はともかく、
 実際は半年近く日本に手も足も出ず、士気が低下、厭戦気分の出ていた中、
 ドゥーリットル中佐の東京空襲は一大壮挙であり、アメリカの士気が復活した為、
 こっちが考えてる以上に彼の空襲は高く評価されているようです)
 
以上、勝者であるアメリカの余裕と中立な歴史解説、一方でウェットな面と負けず嫌いな面を、僕の感想として紹介しました。
蛇足ですが、真珠湾攻撃は、アメリカが実感出来る歴史の中で、映画の侵略エイリアンを除けば、
最もアメリカ(ハワイは当時、実際は準州でしたが)を破壊した攻撃と言えますね。
映画の映像より、アリゾナ・メモリアルで見た当時の映像の方がはるかに迫力を感じました。
古い歴史でいえば米英戦争のイギリス(これに破壊活動を受けた祖母に育てられたタウンゼント・ハリスは、
生涯イギリスを嫌っていた)や南北戦争のシャーマン将軍の方が、アメリカを遥かに破壊してますし、
太平洋戦争でも第一次ソロモン海戦や南太平洋海戦などで敗戦を喫しています。
南太平洋海戦なんかは、戦った日が海軍記念日だったこともあり、「史上最悪の海軍記念日」と言われたりしています。
しかし、市民の目の前で、記録映像として残る形で、実感出来るものとしては、日本の真珠湾空襲が空前絶後のものではないでしょうか。
ゆえに、何かあると「パールハーバー以来」という言葉が出て来るものと思います。
そして、「パールハーバー」を引き合いに出す割りに、日本のことを今でも嫌ってる訳ではない、そう思いました。
 
以上、真珠湾攻撃のあった、日本時間12月8日までネタを引っ張って書いてみました。
 
明日より、またお気楽なハロプロ系日記に戻ります(笑)。