鉄鋼ネタ

新日鉄とミタル提携拡大・車用鋼板の米合弁拡張へ
自動車用鋼板、新日鉄がインド生産へ・現地大手タタと合弁交渉
以前にも、ミタルスチールのネタは書いてますので、その流れで。
千奈美に過去記事は、
http://d.hatena.ne.jp/houkouonchi/20060824/1156423208
http://d.hatena.ne.jp/houkouonchi/20060627/1151404535
その時に「素人考えだが、3倍のシェアの相手に真っ向勝負するより共存共栄がいい」
→「現在、世界では鉄鋼業界の再編が進んでいる。この流れにうまく乗っている」
という流れになってました。こんな素人より、流石に経営者は頭がいいし、実際に行動してるなと。
今回のもその流れを汲むものですね。
 前までは「圧倒的シェアとなったインド企業と、高度な技術を売りにする日本企業はどう付き合うか」
「鉄鋼業界再編の流れの中、どう進むのか」を見て来ました。現在は政治の次元で、日本とインドの間に
動きがあり、それも考慮したいと思います。
「日印戦略的グローバル・パートナーシップ」に向けた共同声明
ここの
2.包括的な経済パートナーシップ:
(6)スズキ、ホンダ、日産、三井物産のプロジェクトのような日本からインドへの主要な投資プロジェクトを歓迎。
や日経の記事中の
「自動車用鋼板を生産する両社の米国合弁会社の設備を増強する方向で一致」
新日本製鉄はインドの鉄鋼最大手タタ製鉄と自動車用鋼板を現地で合弁生産する交渉に入った」
はかなり親和性の高い情報だと思います。僕なりの結論から先に書くと、
「日本企業とインド企業は提携し、補完し合って世界の中で活動し、それは政府レベルで後押しされている」です。
そういう戦略がある以上、「共存共栄」よりも「同盟軍」としてお互いの不利になる行動や、敵愾心を煽る行動は
取らないと考えられます。日本も、かつての貿易摩擦の教訓を生かし、現地の材料を買い、現地の人に作業させ、現地で売る
というサイクルを確立させてますから、インドに進出した「スズキ、ホンダ、日産」に
「タタ製鉄と自動車用鋼板を現地で合弁生産」して供給します。政治レベルでこの方針が後押しされているため、
この流れは鉄鋼以外でも加速すると見ます。それは反面、これまで中国に置いていた軸足が移されることを意味すると考えます。
中国もインドも、日本でない以上、日本企業にとってリスクは多々あります。その際の保証が、政治レベルでの意思疎通だと
思います。しかし、最近の日中関係は政治レベルで「共存共栄」を目指しているとは考えにくいです。
政治レベルで「共存共栄」ならば、インドへの接近は中国への牽制とも取れますが、政治レベルで「政冷」と言われ、
経済レベルでも相当にインドに接近しているため、僕は中国からインドへのシフトが既定路線化したと思います。
中国に深く入り込んでいた日本企業が、損害を少なく撤退するには時間がかかります。そして、日本とインドとの経済協力が
表に出てくる時は、水面下で行われた交渉は完全に終了し、セレモニーを残す段階まで至った時です。
カレーしかイメージするものがなかったインドが、IT先進国・高等教育の国・将来発展する国というイメージとなったのは、
森総理のインド訪問時からです。小泉総理の5年間は、「政冷経熱」と言われ、中国との関係が冷え込む一方で、
中国への投資が煽られ、一方で企業の国内回帰も始まりました。そして安倍総理とシン首相による日印パートナーシップ。
7年の時間をかけて、じっくりと中国からインドに軸足を移し、今日に至ったものと愚考します。
 話がでかく、妄想混じりになってきましたので、鉄鋼に話を戻します。新日鉄が業界1位を味方にした以上、
株価とかは安定成長になると思います。ミタルはおいといて、タタ製鉄は、日本の自動車会社のインド市場での成長に
合わせて急成長が見込まれるのではないでしょうか。また、スズキの半子会社のマルチ・ウドヨグの他、
同じタタグループのタタ自動車が、高品質の自動車用鉄鋼を安く安定的に得られる恩恵を受ける成長株ではないでしょうか。
以上、妄想混じりの経済ウォッチャーの戯言でした。
ル ’ー’リ「あんまり参考にしないで下さいね」