ポーランド政権旧共産党関係者を追放

最近知り合った人はあまり知らないかと思いますが、当方ポーランドもたまに調べてます。
旅行したことがあり、言葉が少々使え、歴史的や文化(メシ)にも興味があったので。
なもんで、ハロの記事はもうないので(ネタで使うことはあっても)、興味ない方はここより下を
読んでもつまんないですよ。






さて、こんな記事がありました。
ポーランド“双子政権” 旧共産政権関係者“追放”

 【ベルリン=黒沢潤】ポーランドの首相職と大統領職を双子で占めるカチンスキ兄弟が最近、
共産党政権と何らかの関係を持つ政府高官を次々と追放している。ともに所属している右派政党「法と正義」が、
勝利した2005年総選挙で掲げた「過去の清算」という公約を順守してきた結果だとはいえ、
兄弟周辺の経験不足の若手が後任に就くケースが多く、「国家の損失だ」との批判が上がっている。
 兄のヤロスワフ・カチンスキ首相率いる政権は今月、1972年8月前に生まれた公職者が過去に
共産党政権と何らかの関係がなかったかを調査するよう法律で定めた。旧政権との“接触”を隠していて
有罪となった場合には10年間失職する。
 独誌シュピーゲルによれば、実際にこの法律が施行されれば、政府職員や国会・地方議会議員、教育関係者など、
約40万人が調査の対象となる。
 施行を待たずに、今週には、オーストリアクウェート駐在の4人の大使が「過去」をとがめられて召還されたほか、
すでに10人以上の大使や閣僚が罷免されている。
 これらの中には、共産党に抵抗してきた自主管理労組「連帯」の一員としてビラ配りをしたものの秘密警察に逮捕され、
家族の安全などからやむを得ず警察に協力を約束させられたというクラフチュク前外務次官らも含まれており、
過剰反応と思える例も少なくない。
 米保守系有力シンクタンクアメリカン・エンタープライズ・インスティテュート」(AEI)に以前、所属し、
ブッシュ米政権に人脈を持つシコルスキ前国防相も、イラク駐留ポーランド軍の安全確保のため、
共産党系の諜報機関の利用を唱えたばかりに、辞職を余儀なくされている。
 ポーランドは現在、ミサイル防衛(MD)構築に向け、米国との関係を重視しなければならない時期にあるだけに、
同国防相の辞任は「国家的な損失」ともされている。
 カチンスキ兄弟は1949年、ナチス・ドイツに対するレジスタンスの闘士で共産党にも抵抗してきた親の下に生まれ、
厳格なカトリック教徒、民族主義者として育っており、「民主国家で不浄な共産主義の土台を利用するのは不可能だ」との
政治信条を貫いている。
 だが、89年の民主化の際、旧政権関係者を使わざるを得なかったのも事実で、「連帯」を率いて変革を主導した
ワレサ元大統領も「母国には議会も憲法も政府も何もなかった。混乱を回避し政権移譲を円滑に進めるには
(彼らの活用は)仕方なかった」と認めている。
 今回の追放の範囲は、旧共産党政権と関係していた人物にとどまらず、政策をめぐり意見衝突した者にまで及んでおり、
兄弟に更迭されたのは首相1人、財務相5人、外相2人、国防相1人。これらのほか、多数の政府幹部が左遷されている。
 同国出身の欧州議会議員は「カチンスキ政権は将来のための経済・社会・政治改革をせず、
『過去との対決』ばかりを重視している」と嘆く。
 シュピーゲル誌によれば、過剰なまでの「過去の清算」を反映してか、政権支持率は28%と低迷し、
次期大統領選で弟のレフ・カチンスキ大統領に投票すると回答した国民は1%にとどまった。
 クラフチュク前外務次官は「ポーランドの『苦渋の歴史』を理解をせず経験もない若手が権力に付く傾向にある」と
公職追放”による人材流出に警鐘を鳴らしている。
(2007/02/23 00:02)

自分の過去ログからの情報です。カチンスキ兄弟が政権を取った経緯ですが、
0.EU内最悪の失業状態、イラク戦争をめぐって独・仏と対立、汚職の横行で政府への信頼失墜
  (この当時の与党は、旧共産党が分裂した民主左翼連合と労働同盟)
          ↓
1.ポーランド総選挙と大統領選挙が始まる
          ↓
2.総選挙で、ヤロスワフ・カチンスキ(兄)率いる「法と正義」(以下PiS)が勝利(2005/09/27)
          ↓
3.PiS勝利により、一族に権力が集中するのを嫌い、大統領選でレフ・カチンスキ氏(弟)不利に
          ↓
4.ヤロスラフ氏「弟が大統領なら、自分は首相辞退」
          ↓
5.大統領選挙の結果、レフ氏当選(2005/10/26)
          ↓
6.ヤロスラフ氏、首相に就任
          ↓
7.政権支持率低下(2006/08/08にコメント)


カチンスキ兄弟の政治は、
・「大選挙区比例代表制→単純小選挙区制にする」選挙制度改革(ただし、改革に必要な3分の2の得票は得ていない)
・大統領権限の強化(かつてワレサ大統領時代に、首相を任命しないで議会を困らせた経緯から、権限が弱められた)
・ドイツに第二次世界大戦の保障を求める(結果、EU内の経済大国ドイツと対立している)
ワルシャワゲイパレードを禁止
国営企業の民営化には消極的
こんなのがありました(やったことと、やろうとしていることがごっちゃになってすみません)。
千奈美に、先の総選挙の争点は「経済政策」でした。そしてPiSは「経済オンチ」と呼ばれています。
もう少し長く歴史を振り返ると、ポーランドナチス・ドイツからの解放後、ソ連によって共産化します。
それが「連帯」のワレサ大統領就任で変わりましたが、「連帯」も汚職等で信頼を失い、その前の選挙では
共産党系の政党が勝利しました。これも汚職し、また旧「連帯」のPiS連立政権となったわけです。
現在のPiS連立政権の支持率も低下しているので、次はまた共産党系の可能性もあり、先手を打った可能性も
考えられますね。とはいえ、ちょっと原理主義っぽい臭いも感じてしまいます。
 日本の隣、韓国は、盧武鉉大統領が日本に対し、今も過去の清算を求めて行動しています。
親日派」の財産没収法を成立させたり、親北派で政府を固めたり、民族派とも言えます(左派のね)。
一方で、選んだ韓国人が「無能」と言っているように、韓国の経済は現在輸出不振とウォン高で低迷しています。
状況としては、ポーランドも似てます。多分両国民とも「経済何とかしろ!」と、小泉総理以前の日本人みたいな
ことを言っているように思えます。僕は、過去に書きましたが、経済が上向けば、クセの強い政府でも
支持率は上がると思います。ところが、その経済回復のパートナーになるべき国家に、両者とも喧嘩売ってる
(しかも理由はどっちも第二次大戦)のですからねえ。韓国を前例にするなら、このパターンは経済好転に
つながらないように思います。
 何回か愚痴ってるように、仕事が今忙しくて、現地のサイトを訳したり、取材行ったりしてないので、
二次情報と自分の過去データから分析というか、感想書いてるだけなので、時間ができたらもう少しつっこんで
みたいと思います。またポーランド語頭に入れ直して、現地サイト読むだけでも違うと思いますが・・・・。
(もし「GAMと行くFC限定ツァーinポーランド」なんてあったら、喜んで行って、ついでに取材もできるのに)