リボンの騎士(娘。版)の歴史学的ツッコミ

 手塚治虫のオリジナル版との比較や、そっちの設定はおいといて
(原作では、ナイロンがもっと腹黒だったり、妖精さんがいたりしますが)、
セリフから色々考証してみます(小ネタにはならない程の分量やで)。
なお、もの凄い妄想なので、頭痛に悩まされている方は、見ないことをお勧めします。
手塚治虫の世界からも、宝塚からも、完っっ璧に逸脱してますので)


【何時ごろの話?】
从‘ 。‘从「祝砲を!」
こう言っている以上、火砲が開発された後の時代ですよね。13世紀以降の話です。
一方で、騎士ヌーヴォーとトルテュが兵を率いて参戦しているということは、
騎士階級が没落する以前。これは16世紀になるとアウトなので、1200〜1500年となります。
装備を見ても、マスケット銃が主戦になっていません(ほとんど出てこないけど、近衛兵なんか)。
武器として目についたのは、近衛兵だったか牢番が持っていたハルバード(斧槍)。
スイス発祥のこの武器持ってるから、スイス人傭兵かな?とも思ったのですが、
スイスは1291年に建国ですから、ありえないわけではないですよね。
 この時代、十字軍の遠征はありましたし、モンゴル帝国中欧まで攻めてきてますし、
ペストは流行してますし、騎士に対して投射兵器(銃より先に長弓等)の優越が明らかになったりと、
騎士たちには受難の時代です。騎士ヌーヴォーとトルテュは、まだこの騎士の苦難を見ず、
華々しく戦場を駆け巡った幸福な人間だったのかもしれません。
 なお、12世紀に入って、異端審問が始まりました。15世紀になると、魔術等も扱い、いわゆる
魔女狩り」が始まります。魔女ヘケティも例外ではないでしょう。しかし、時期的には
僕が推測した時代はまだ、魔女が生きていける時代でした。ヘケ様、良かった・・・・。


【シルバーランドVSゴールドランド】
 騎士トルテュは2万の精鋭を、騎士ヌーヴォーは3万の命知らずを率いて現れました。
しかしこの兵力、広大な領地を有したブルゴーニュ公国の動員兵力より上です。
一介の騎士が(こいつらが実は将軍クラスなら別だが)こんな兵力をどうやって集めたのでしょう。
しかも、フランツがシルバーランドを脱出してから、あまり時間は経っていません。
両世界大戦時に、アメリカという経済大国ですら、兵力を動員して戦場に送るのに1年かかっています。
中世なのでもっと早く済みますが、それにしても早すぎます。
 「何時ごろ」という項目で、騎士没落以前の時代と判断しました。この時代、傭兵はいないことは
ないのですが、騎士が兵を募集して、自前の戦力として参戦するのが普通です(ゆえに、後世の細かい
戦術は使いようがない。指揮権が分散しているため。ゆえに、フランツ王子も大雑把な進撃方法しか
示していません。从‘ 。‘从「大通りを突き進む」)。
 劇中で
从‘ 。‘从「長年争っていましたが、平和が訪れ・・・・」
こう言っていました。サファイアのシルバーランドと、フランツのゴールドランドは長らく戦争をし、
やっと平和になったところ、そういう話でした。となれば、騎士が計5万もの兵を持ってきたのは、
「実はゴールドランドは戦時体制を解除してなく、何かあればすぐにシルバーランド攻撃を行う」
体制だったと考えられます。そう考えれば、フランツ王子が無実の罪で囚われた時、
从#‘ 。‘从「(戦争するな、に対し)それはできない! 責任を取らせてやる!」
と強行的だったことに納得がいくのです。いいカスス・ベリ(戦争名目)ができたと。
 それにしても、フランツ王子直属軍が5万、両騎士の兵が計5万、全部で10万なんて、
十字軍並の動員やってますよね。一緒に復活祭祝ってることから、宗教対立(異端征伐)で
人を集めていないのですから、マジでフランツ王子って、フランツ皇子(神聖ローマ皇帝の子)かも。


【フランツ王子の軍才】
(・e・)「貴方を信頼している」
ノノ*^ー^)「任せる」
言葉遣いは同格っぽいも、指揮権を委ねることに何の躊躇いも持っていません。
これは、フランツ王子は既に戦争を経験し、一定の成果を挙げているため、大兵力を統率する
騎士からも信頼されているのではないでしょうか。初陣だったり戦下手なら、お目付けはつくし、
第一5万もの兵を預けられるはずがありませんから。
 フランツ王子のソツのなさは、情報戦でも現れています。
∬∬´▽`)「国境にゴールドランドの軍隊が集まってるって言うし・・・・」
と一方が噂話程度の情報しか持っていないのに対し、
从‘ 。‘从「国王の死とそれに伴う混乱から、兵も民も逃げ出していて、国としての体裁を取っていない」
从‘ 。‘从「女であることがバレて追放されたと聞いた」
从‘ 。‘从「大通りを真っ直ぐ進み、城に突入する」
明らかに確実な情報を持っています。10万の兵力を集結させながら、相手に噂話以上の情報を
与えないというのは、防諜もしっかりしているということです。
 そう考えると、ゴールドランドは軍備を解いていなかった説と合わせ、彼の別な顔が見えてきます。
復活祭にかこつけて、お忍びでシルバーランドに入国していたのは、国情・地理を調査するため
だったのではないでしょうか。お忍びのくせにバレバレなのは、本来の目的を悟られないために、
わざとバレるように振舞ったのではないでしょうか。彼は自ら間諜をしていた。
 そうなると、「捕まったじゃん、王子がそんな危険なことになっていいのか?」となります。
もしも王太子ならば一大事です。王太子ではなかったら?? 庶出子の王子ならば、軍にのめりこむことも、
間諜として他国に出入りすることもできるでしょう。フランツ王子の立場は、そういうものでなかったでしょうか。
(そうなると、シルバーランドを制圧し、自分の勢力圏として、立ち位置の強化や独立も有り得るか)
 もう一つ。シルバーランドの淑女たちは、フランツ王子に憧れています。今とは感覚が違うとはいえ、
自国相手に戦った相手ならば「きゃー、かっこいい!」とはならないと思われます。
ゴールドランドは、シルバーランド以外の国とも戦っていて、フランツ王子はそちらの戦線に投入され、
戦果を挙げていて、その名将の評判もシルバーランドの淑女たちを熱狂させていた、こう邪推します。


【シルバーランドの国情】
「大臣が国を握れば、民の苦しむさまが目に浮かぶ」
王にそう言われている(0^〜^)大臣です。そんなのが、どうして大臣をやれるのでしょう。
後半、税金を上げまくって国民に逃げられているので、内政を任されているわけではないでしょう。
一方、外交上デリケートな問題に、旧敵国の王子を巻き込むことをしたため(しかもそれは反省なし)、
外交的な見地も皆無な男です。となると、軍事・警察方面でしょうか。
牢番や衛兵に対して命令をしてますので、その可能性が高いですね。(よっすぃ〜のキャラ的にも)
彼らは傭兵の可能性を書きました。大臣は、実は傭兵を率いた軍事部門の責任者で、王も彼を除外
できなかったと考えます。そう、名高いスイス傭兵を指揮していた可能性があるのです。
傭兵を雇う以上、金が要ります。税金を高くしたのは、金がどうしても必要な傭兵雇用上の問題では
なかったでしょうか。とはいえ、国境に間諜も置かず、敵に易々と城を陥落されているため、
優秀とは言い難いのですが・・・・。しかし、シルバーランドは人材不足っぽいので・・・・・。
 10万人の部隊が集まって、ようやくフランツ王子は、
从‘ 。‘从「これで勝てる!」と言いました。
シルバーランドも、総兵力では万単位の動員が可能な国であることが伺えます。
3倍の兵力があれば、ゴールドランドは和平を結ぶ必要がなかったはずです。勝てますから。
2倍に達して「これで勝てる」ならば、5万人程度の兵は動員可能だったのではないでしょうか。
総兵力5万ならば、野戦に使えるのは2万程度。あとは城や町の守備隊にします。
騎士団主体のゴールドランド軍に、5千でもスイス人傭兵がいれば、負けはないかもしれません。
上で、ゴールドランドはシルバーランド以外の国とも戦っていて、と推測しましたが、
ゴールドランドはシルバーランドに全兵力を出せなかった、ゆえに戦いは長引いた、ではないでしょうか。
 ここで王の立場が重要になります。大臣が戦争を主導しているならば、王が和平をしたのでは
ないでしょうか。実際、王家は平和主義者っぽかったので。多分に妄想ですが(もうここまでもかなり)、
王はこのままゴールドランドと戦い続けてもジリ貧、それにゴールドランドは多数の戦線を持っているから
いいものの、どこかが片付いたら一気に不利になる、それだったら今のうちに有利な条件で和平を結ぼう。
結果、ゴールドランドとは平和が訪れた。しかし、他の方面での戦争が一段落した時、ゴールドランドは
シルバーランドと結んだ和平が邪魔になった。なんとか上手く和平を壊す口実を探していた。
王もそれは分かっているが、大臣は・・・・。王が大臣を警戒する理由は、内政を省みない
だけでなく、傭兵隊長でもあるため、戦争上等だったからではないでしょうか。そして軍功ゆえに、
排除はできない。大臣の立場からすれば、先軍政治をして、間諜と思しきフランツ王子等はいい口実で
牢にぶち込め、そんな感覚ではなかったでしょうか。
(ついでに言えば、小春の新王は、そんなにアホではない。親父よりは内政が見えてる)






【妄想の先には】
 なんとなくねえ、大臣は実は国家の事を考えていた忠臣で、権力に執着して王子がいないにも関わらず
王権を渡さない王家こそ邪魔者で、一方のフランツ王子は軍事大国の有能な指揮官であり・・・・
こういう逆転物語が書けないかな????
あの無能っぽい大臣を引き立てるため、強引な解釈は承知の上さ!!
忠臣蔵で、実は浅野内匠頭がアホで、吉良上野介が正しかった、みたいな逆転ストーリーを)