ミタルスチールとアルセロールの合併

 鉄鋼世界1位と2位が合併し、日本の3倍のシェアを持つ会社ができるとのこと。
ミタルスチールは、生産量は世界一でも、建材等の低価格鋼中心だったため、売り上げは
低かったとのこと。一方のアルセロールは、ヨーロッパの名門で、売り上げが世界一で、
高級鋼の技術も持っています。日本の各鉄鋼業の主力商品は、高張力鋼という高級鋼で、
住み分けができていたそうです。
 ミタルスチールは、インド人の富豪ミタル氏が、経営難に陥った鉄鋼会社を買い取って
成長を続けてきた会社で、その経緯から高度な技術は有していませんでした。そこで、
業界2位のアルセロール敵対的買収を企図、アルセロールはロシアの会社と組んで
防衛を試みましたが、「モンキーマネー」と侮蔑したインド人よりも、資源戦略を以って
国際的影響力を及ぼすロシアの方が、株主たちにとっては恐ろしかったようで、結果今回の
合併に至りました。
 ランチェスターの法則というものがあります。本来は軍事における、彼我の被害比から
求められた法則なのですが、これはマーケティングにも当てはまります。
思いっきり意訳しますが「同じ市場を奪い合う場合、目下の敵の倍の資金をかけよ。
そうすれば敵の半分の損害で、その市場を独占することができる」となります。
合併後の新会社は、高級鋼の技術も取り入れ、安い鋼もアジア中心に売る方針だそうで、
これは自動車等への高張力鋼を商品とし、アジアを市場開拓しようとする日本と重なります。
そうなると、3倍の力を持った会社と、シェアや資源をめぐる争いとなることが予想されます。
まともに行ったらまず勝てませんね。
 一番愚かなのは、真っ向勝負することだと思いますね。日本の企業しか作れない高度な技術に
よる鋼材を商品とすること(一定の市場を確実に独占すること)、最近脆さばかりを見せる
敵対的買収に対する弱さを克服して技術を流出させないこと、相手と業務提携をして(中国等の)
市場の一部を渡す一方で相手の市場の一部ももらって(囲碁でいう)「紛れ」状態にすること、
以上が僕程度の凡人が考える今後の戦略です。マネーゲームや市場争奪戦は、体力のある相手と
やり合うと危険です。(「ランチェスターの法則」の弱者の戦略をなぞっていますが、
守りを固めることと、敵と癒着しろということは、ちょっとした独自論だと思っています)
 僕がミタル氏の立場にあり、日本を駆逐してその市場を奪おうと考える場合、まず弱体な
金融法体系の抜け穴から株式取得を行い、一社を乗っ取ってそこの技術や資源取得ノウハウや
日本国内での販売経路を悉く吸収し、その上で一気呵成に資本投入を行って他の会社を
半壊状態に追い込み、最終的にはそれらの企業をも乗っ取って極東の足がかりとすることを
考えます。もっとつっこめば、最初の一社乗っ取りは、本体は出てこず、日本人のファンド会社を
代理に立てて行います。日本人の中に同調者を作って、そこから侵出することを考えます。
僕程度が考えることなど、新日鉄や住友等の鉄鋼メーカーの幹部が考えつかないないはずがないと
思いますので、きちんと対策を立ててくれることを信じたいと思います。
ライブドアショック以降、鉄鋼等の重厚長大系のトレンドを追っかけているので、
 打つ手を間違って堅調な市場を混乱させないかチェックしたいと思ってます)