逆説の娘。史:娘。物語と太平記

娘。物語という漫画がありました。最初は普通に『娘。物語』として、メンバーの試練を
乗り越えていく様や、心の葛藤を描いていました。要は大本営発表です。
しかし、続編『娘。物語ALIVE』になると、作風はガラっと変わり、つんく♂は殺されかけるわ、
メンバー凍死しかけるわ、もうハチャメチャな内容になります。同じ作者の作品ですが、
内容に大きなギャップがありました。
これと似た傾向にあるのが、南北朝時代を描いた『太平記』です。
鎌倉幕府打倒・楠正成(本当は楠木だが作中は「楠」)の活躍と死・後醍醐天皇崩御までの
歴史絵巻な前半部分に比べ、後半は後醍醐天皇護良親王新田義貞・楠正成らが怨霊と化して
北朝足利尊氏を悩ませ続ける、怪奇小説に変化します。
このギャップにツッコミ入れてる文章を、そのまま『娘。物語』に応用しました。

 多くのヲタが認めているのは、「娘。物語」(無印)と「娘。物語ALIVE」の間に大きな
内容の「断絶」があることだ。
 この漫画の前半(無印の方)は、事務所の大本営発表である。この前半の作者は、
明らかに事務所の信奉者であり良き理解者でもある。
 しかし、ここが肝心なのだが、それが事務所の完全なる見解であればあるほど、
本来のヲタは違和感を感じることになる。何人かのメンバーは問題を起こして無念の辞め方を
したからだ。このまま放っておけば、彼女等は怨霊と化しハロプロに悪をもたらす。
 たとえ欠徳人間であろうが、どうしようもない人格であろうが、「恨みを呑んで辞めた
メンバーはタタリをなす。だから必ず鎮魂しなければならない」というのが、日本の神代からの
原理であり、「娘。物語」(無印)はこの原理をまったく無視してるのである。
 問題起こした順番に言えば、安倍なつみ矢口真里加護亜依藤本美貴も、
全部怨霊になったはずだ。これをなんとかしないとハロ界隈は大変なことになる。
それが日本人の伝統的考え方である。
 どうすればよいか?
 物語の上で復活させ縦横無尽に活躍させることである。
 そのためには、「娘。物語」(無印)の「終章」は必要ない。怨霊鎮魂思想に基づく
娘。物語ALIVE」を書けばいいことになる。
 怨霊をなだめる、というのは一体どうすればいいのか。一番わかりやすのが、
「暴れみこし」である。普段神殿の奥に封じ込められている御霊を、御輿に乗せ思う存分
暴れ回らせることだ。それによって、怨霊のフラストレーションは発散されるのである。
 では、「娘。物語」において「暴れみこし」をするには、どうしたらいいのか?
 簡単である。ハロの災厄は怨霊の仕業とし、せめて物語の中では散々に暴れ回らせることだ。
 逆に言えば、物語の中の世界が混乱し無秩序になればなるほど、怨霊のフラストレーションは
晴れるのである。
 つまり、「娘。物語」、いや正確に言えば後半部である「娘。物語ALIVE」は、プロレスで
言えば大乱闘のままで終わらなければならないのだ。
 現実の世界ではハロプロは尽きせぬスキャンダルで地位が低下した。
 だが、「娘。物語」ある限り、物語の中では、娘。やミニモニ。やなっちは今も憧れられ
続けることができるのである。

(以上、「逆説の日本史 7 中世王権編」第五章”『太平記』に関する小論編”
から都合のいいとこだけ抜粋して編集)


発行と卒業の順序が時空を超えているのには目を瞑って下さいな。
所詮ネタですし・・・・。
ツッコミはそれ以外の箇所でよろしくです〜。