零戦の話(補遺)

その時歴史が動いた」のゼロ戦絡みのネタにツッコミ入れた時に、
二号零戦は予定の性能が出ず、二一型が性能向上した結果、魅力がなくなった、と書きました。
その数字を出しておきますね。
二号零戦(三二型)は、当初の計画では、時速300ノット前後での運用を想定していました。つまり、
 二一型:最高速度 518km/h → 三二型:最高速度 556km/h
と40km/h近く高速になるはずでした。しかし、実際の三二型と、生産慣れした二一型後期を比較すると、
 二一型:最高速度 533km/h : 三二型:最高速度 546km/h
で、速度で13km/hしか差がありません。航続距離は、二一型:2,222km → 三二型:1,800km と
短くなり、片道1,000kmを飛ぶガダルカナル戦で問題視されました。それでも、
い号作戦終了直後にラバウルで開かれた連合艦隊の研究会上で、
「二号零戦は特に高速横転時操作軽快なる為空戦上極めて有利なり」という報告も出されています。
これは、二一型は補助翼が大きくて横転時に重くなっていたのに対し、三二型は補助翼を小さくしたため
性能が向上したものです。この頃の銃撃回避は、旋回よりも横転が主でしたので、実情に合っています。
要は、好みの分かれる仕様ってことですね。失敗作と切って捨てていいものではない、と。
 NHKにインタビューを受けた元パイロットが
「航続距離が足りない問題は、ブイン等途中に飛行場を建設してどうにかした。だけど、まずはじめに
 『二号零戦は失敗作』という結論ありきで、そういう話は聞いてもらえなかった」と言ってるとか。
自分好みに歴史を改変するのはやめましょうね、NHKさん!